マグネシウム(睡眠目的):ポピュラーなのに、証拠は弱い
要約:「眠れなくなったらマグネシウム」は広く行われていますが、2026年のシステムレビュー(12件RCT)の結論は「不眠の通常の治療としてマグネシウムを支持しない。一部の主観的指標に小さな利点の可能性。証拠の確度は低〜非常に低」です。このページはD評価の例として掲載しています。
何が期待されているか(効能の主張)
GABA受容体の調整、筋弛緩、メラトニン経路の補助——「リラックスして眠れる」という理屈で普及しています。理屈はもっともらしいですが、理屈の正しさと臨床効果は別物です。
実際に何が示されているか
システムレビュー(2026, 12件RCT)
Lopresti らのレビュー(PubMed/MEDLINE・Cochrane・試験登録網を2026年6月まで検索)では、主観的睡眠、EEG、actigraphy、ウェアラブル推定、生理マーカーの間で結果が一致せず、GRADE確度は低〜非常に低。「現在の証拠は、不眠に対する経口マグネシウムのルーチン使用を支持しない」が結論です。
ただし「ゼロ」ではない
- 高齢者の不眠のメタ分析(3件RCT, 151人):入眠までの時間が平均17.4分短縮(p=0.0006)。ただし試験のバイアスリスクは中〜高。
- 睡眠不良を自覚する健康成人155人のRCT(2025):グリシン型マグネシウム250 mg/日で4週後のISIスコアがプラセボより有意に改善(-3.9 vs -2.3)。効果量は小さい(d=0.2)。食事中のマグネシウム摂取が少ない人ほど効く傾向——「不足している人だけ効く」仮説と整合的です。
どう読むべきか
マグネシウムが効く plausible な場面は「不足している人」です。日本人はマグネシウム摂取がやや不足傾向とされます。偏った食事で野菜・豆・魚が少ないなら、サプリよりまず食事改善、その補助として試す価値はあります(1日250 mg程度、試験範囲)。逆に、十分な食事をしている人の不眠にマグネシウムは期待できません。不眠が続くなら睡眠医療が本道です。
安全性
腎機能が正常な範囲での用量(試験では<1 g/日)では副作用は軽い(軟便)。腎疾患のある人は必ず医師に相談を。酸化マグネシウムは日本では医薬品(下剤)としても使われます。
参考製品リンク(準備中)
参考文献
- Lopresti AL et al. Magnesium Supplementation for Sleep in Adults: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials. (2026). PMID 42661485
- Schuster J et al. Magnesium Bisglycinate Supplementation in Healthy Adults Reporting Poor Sleep: A Randomized, Placebo-Controlled Trial. Nat Sleep (2025). PMID 40918053
- Oral magnesium supplementation for insomnia in older adults: a Systematic Review & Meta-Analysis. Public Health Nutr (2021). PMC8053283
本記事は情報提供であり医療アドバイスではありません。持病・服薬中の人は医師にご相談ください。